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八尾市ものづくりnet.の中の八尾のトップシェア/オンリーワン企業の中の株式会社武林製作所

環境分野でがんばるものづくり企業

歯ブラシ用金型で全国トップシェア~熟練職人による手作業仕上げ~

株式会社武林製作所
八尾市の地場産業を支える金型技術

八尾市の地場産業の1つに歯ブラシが挙げられる。明治中期頃から農業の副業として歯ブラシの生産が開始され、現在では多くの歯ブラシ工場が立地し、八尾市を支える地場産業として発展を続けてきている。歯ブラシは毎日口に入れて使う製品であるため、バリを出さないためにその製造にあたっては他のプラスチック成型品に比べ、高い精度の金型が求められる。その歯ブラシ用金型で全国トップシェアを誇っているのが株式会社武林製作所である。

同社では1972年の創業時から歯ブラシ用金型の製造に取り組んでおり、40年以上の実績をもつ。現在では、地場の歯ブラシメーカーはもちろんのこと、大手歯ブラシメーカーのほとんどと取引があり、同社で製作した歯ブラシ(単色・2色)用金型を使用して成形した製品が、国内市場の50%以上のシェアを確保している。

挑戦の積み重ねにより蓄積された製造ノウハウ

創業者である武林敏夫氏は、同業他社が多く差別化を図りにくい丸型樹脂製品用の金型ではなく、高い精度が求められるため同業他社が敬遠する歯ブラシ用金型の製造に挑戦し、他社との差別化を図った。歯ブラシ用金型はバリを出さない精度が求められるほか、歯ブラシは量産品であるため耐久性も求められる。特に他社ができない仕事を進んで引き受け、実験を積み重ねて、使用する鋼材の種類、金型表面の研磨方法などで試行錯誤を重ね、製造ノウハウを蓄積してきた。また、創業間もない時期から要求水準の高い大手歯ブラシメーカーとの取引が始まり、その要求に応え続けていることに加えて、金型からメーカーの新製品の情報が漏えいすることを防ぐために情報管理体制に細心の注意を払ってきたことで、信頼を獲得してきた。

手作業による最終仕上げと鏡面磨き

金型の耐久性や成型の品質を高めるためには、最終工程での仕上げと鏡面磨きが重要となる。その作業は同社ではすべて熟練の職人が手作業で行っている。最終工程での仕上げでは、金型のわずかなズレを修正するとともに、成型時の熱膨張まで計算し、微調整を行う。鏡面磨きでは、砥石を使ってつやを出し、ミクロン単位の違いを識別する職人の指先の感覚により鏡のように輝くまで磨き上げる。これらの工程は機械では手作業と同程度の精度を確保することが困難であり、同社の強みの源泉となっている。また、顧客より他社金型の耐久年数は5年以下が一般的であるのに対し、同社の金型は30年以上用いられるケースもあるなど、耐久性に高い評価を受けている。同社の熟練した職人は「なにわの名工」「なにわの名工若葉賞」「八尾ものづくり達人」に選定されるなど、その手作業による技術の高さは対外的にも評価されている。

今後の展望

2代目として引き継いだ武林美孝氏は、先代から積み重ねてきた金型の製造ノウハウをマニュアル化していくとともに、OJTにて金型の最終仕上げ加工、鏡面磨きの熟練の技術を若い世代に引き継いでいくことで、競争力を維持する。また、歯ブラシのほか、歯間ブラシ、ヘアブラシ、美粧用品など付随する製品の金型受注は行っているものの、同社の高い品質を維持するため、無理な拡大路線に進むことはせず、歯ブラシ用金型の製造をメインにノウハウの蓄積を継続し、地に足のついた経営を続けることで、今後も熟練職人の手作業による精度の高い金型供給で地場産業を支えていく。

株式会社武林製作所
○所在地:   〒581-0834 大阪府八尾市萱振町7-5-2
○TEL:   072-998-1207
○FAX:   072-922-6525
○URL:   http://www.tmc1972.com/
  • Technical技術
  • Product製品・部品

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